ごあいさつ

ごあいさつ
 アルゼンチンは、日本とは地球上で、最も離れた場所に位置する国です。タンゴで有名なこの国が、世界で5番目に日系人の人口が多い国であることは、案外知られていません。ご縁があり、この国で暮らす日系人と知り合いました。
 
彼らが移住した時期は、明治時代から高度経済成長期直前のピークまで長期にわたります。同じ80歳でも1世も2世もいます。さらにその子孫達と、日系人の年齢構成も多様です。2世や3世には、日本語を話さなくなった人もいます。しかし彼らの生活は、世代にかかわらず、日本の古い習慣を忘れることなく営まれています。
 遙か遠い国に渡った日本人は、何時から日系人に変わっていくのでしょう。過去の苦労は奥にしまい、こちらの笑顔に応えてくれる。彼らの姿は、子供の頃に見 た昔の日本の大人の姿そのものでした。日本のちょうど反対に位置するアルゼンチンに暮らす人々の生活は、左右は反転するが上下には変わらないという、鏡に 映った姿を見るようでした。
 
1世を中心に、自分が生きてきた年数より長くアルゼンチンに暮らす人々を写真に収めました。

2015年7月28日火曜日

グアラニーの森の物語

『グアラニーの森の物語』増山朗著 川村湊編 インパクト出版会 2013

増山朗氏は1919年に北海道にて生まれた。1939年に、外務省の実習生としてアルゼンチンへ渡航しました。ブエノスアイレス郊外で花卉栽培を行ない、2006年に現地でなくなりました。
1989年にブエノスアイレスで創刊された、日本語による文芸雑誌「巴茶媽媽」(パチャママ)の中心人物のひとりでもありました。
アルゼンチンでは、古くから日本語による新聞が発行されています。しかし、長い間、文芸雑誌というものは存在しなかったとのことです。増山氏は、この「巴茶媽媽」にアルゼンチン日系文学史上初の長編小説『グワラ二ーの森の物語』を連載しましたが、「巴茶媽媽」 の廃刊とともに作品は未完のまま終了てしまいました。